原発という声聞けば思わるる市井の科学者高木仁三郎
街のなか募金求める列あらば原発を問う鋭き声も
雲海のわずかに切れて褐色の海辺見えれば三陸らしき
「イマジン」 をきくがごときく被災者の祈りに近き詩の雄叫びを
被災地と永田町とは雲泥というボランティア両手を広げ
原発が停止となれば茶畑まぶし牧ノ原台地
「セシウムが襲いかかるもお茶の木は逃げられぬ」 と嘆く農夫は
きょうもあすも定かならざる駿河湾伊豆の山より朝明けはじむ
街の灯の明るくなればなるほどに闇暗くみゆ裏窓の染み
ヒロシマにナガサキにまたフクシマに被爆、被爆はどこまでつづく
失いし牛の夢見る牛飼いのドキュメンタリー終わりなく終う
原発のまた原爆の歴史をあざなうごとく怒り哀しむ
さらにまた原発犯罪重ねれば笑劇なるべし近現代史
法人に倫理などまずありうるか哀しむことも愛することも
ゆらゆらと非 「脱原発」 主張する記事目に付けばマスメディアらし
匂うほど容よき富士 砲弾のひびきに歪むひとときのあり
探せども怒りの歌の少なかれ喜と哀楽に拉 (ひさ) がれたるか
満月ががれきの山を上がりゆく閑かなることレクイエムのごと
紅葉の裏磐梯のすばらしきFukushima before 3・11 photo
定型におさまり難き語彙なれどメモに書き込む 「第二の敗戦」
放射能マップ奏づる受難曲非常口なきわれらわれらは
いまはもう自明のごとし産学協同批判きくことのなき
現実が空しく見えて虚しきが真実に見ゆ過ぎたる社会
経済の成長などもう要らぬ希望ぞほしき21世紀
『市民の科学』 市民科学研究所 2012 14号 「 原発はいらない」 より